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Rosa†Antica(ロサ・アンティカ) - アンティーク・レトロ雑貨店店主、女優、人形作家、由良瓏砂のブログ

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11

10

22:41
Sat
2018

No.0204

クトゥルフフェス 2018 レポート

11/4(日)、池袋にて開催された「クトゥルフフェス2018」。
8月に豚蛇さん経由でお誘い頂き、まあやるなら豚蛇さん作の妖神乱舞朗読だろう、とそれはあっさり決まったのですが、持ち時間1時間近くと聞いて、さてどうしよう、と考えました。
以前《哲学者の薔薇園》で開催した、クトゥルフミステリーゲームなども面白いかな、と考えたのですが(こちら参照)、10月喫茶茶会記でのハロウィンイベントで長南さんが執り行った「サウィンの儀式」に影響され、これをやろう、と思ったのは以前にも書いた通りです。
今まで魔術や錬金術、神秘主義等をモチーフとした演目は何度となく上演してきたものの、儀式そのものは人目に触れない場所で行なうもの、という先入観があったのですが、長南さんが「西洋魔術は人前でやることを前提としている」と仰るのを聞き、目から鱗が落ちました。
あまり世に知られていない素晴らしいものを紹介する、という私の基本理念とも合致していると思ったのです。

儀式の次第は長南さん作成のフォーマットを元に、黄金の曙団で使用されているものや魔女術の書籍などを参考に作成。
道具は自分で作成したものや、今までイタリアや魔術専門店、ハーブ専門店、教会の売店等で購入したものでほぼ間に合いました。
新たに購入したものはお香を炊く為のチャコールくらいでしょうか。
当日の朝、1階のカフェ・iitokiでの物販準備は担当の方にお任せし、PAと照明のリハーサル時にテーブルの確保、方角の確認と道具のセッティングを試して準備完了。

10時開場予定のところ、かなりの盛況で少し開場が遅れたようです。
開会式はLost Tales of CTHULHU(LToC)による生演奏で幕を開けました。
ハイトーンボイスとダークでシンフォニックな楽曲がとても心地よく、引き込まれました。
撮影可能か分からず写真を撮らなかったので、是非PVをご覧になって、雰囲気をお楽しみ下さい。

Lost Tales of CTHULHU - 悪夢の記憶

続いて、朱鷺田祐介氏のトークショーと弘司氏のライブドローイング。
トークショー前半は自分の準備であまり聞けなかったのですが、後半の「ラブクラフトの青春時代」はラブクラフトが同人活動を通じて詩で嫌がらせを綴った話や、人妻と交流を持った話など、生きていたら眉を顰めそうな(笑)お話を色々聞けました。
弘司氏のライブドローイングはLToCのメンバーを描いたものだったのですが、これがまたかっこよくて。下絵無しで2時間で描けちゃうんだ、ってびっくりしました。



そして私のサウィンの儀式&妖神乱舞朗読。
想定外のこととしては、東が客席にお尻を向けた方向だったので、東方を向いての詠唱部分を西方に変更したこと、チャコールが途中で消えてしまったこと、照明を文字を読めるぎりぎりまで落としてもらったのですが、読めない箇所がところどころ出てしまったことがあります。
チャコールに関しては消えやすいのは分かっていたので、相当しつこく点火したのに、悔しいです。
あともう一つ、テーブルがかなり味気なかったので、黒布でもかけるべきだったな、とこれは後で気付いて、残念な思いをしました。

魔術儀式の際の道具の種類は、かなりの数に及びます。
四大を象徴する剣、杖、杯、ペンタクルをはじめ、10数種類もの道具をテーブルに配置するのですが、都合に応じて変更は可能です。
本当は釜を用意してその中で贄を焼き捨てるのですが、火災報知機が鳴ってしまったら大変なので自粛。
冬を無事に越す為に捧げる贄は、本来は弱い動物などらしいのですが、克服すべき欠点・悪癖としました。
代表して一つ、何かありませんか?とお客様に問い掛けたのですが、予想通り出てこなかったので、前以てお願いしていた豚蛇さんに振りました。
「ギリギリまで行動しない習慣」という、きっと耳が痛い人が多いだろう悪癖を提案して頂き、羊皮紙に書いて、儀式のクライマックスで焼き捨て、無事儀式を終えることができました。

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続けての妖神乱舞朗読。今回豚蛇さんに「読んで欲しい邪神あります?」と聞いたところ、まさかの18柱をご提案頂いたので、折角なので全部読んでしまえ、と思い、でもその中に妖神乱舞の最後に登場するアザトースが入っていなかったので、私リクエストということでアザトースを加えた19柱を朗読。
何しろ長さもまちまちで、綿密な照明打ち合わせが出来よう筈もないので、照明はライブハウスのスタッフさんにお任せしたところ、内容を察してかかなり怪しくして下さいました。
それでやはり所々、字が見え辛い箇所が出てきてしまったのは、ご愛嬌といったところでしょうか。
終わってから時計を見たら、なんとほぼぴったり1時間!私すごい。

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私の次の演目は、おおぐろてん氏、ちゃま氏、三好一平氏のスタジオメトロノームの面々による、実話怪談。
ラブクラフトの小説が意味不明な出来事が淡々と続き、オチらしいオチもなく突然終わる、そのじわじわした怖さが実話怪談的だ、との「闇にささやくもの」を例にしての解説があり、続けておおぐろ氏らが心霊スポットなどで体験した怖い話が次々に語られます。
これが、実話だけに本当に怖いのです。
おおぐろ氏は生まれ育った環境からしてかなり心霊的なものに馴染みがあるようなのですが、巻き込まれた三好氏などは酷い目に遭っているのに、ご本人には霊障的なものは全く降り掛からずにいるそうです。多分霊的に強い体質なんでしょう。
私も全く霊感的なものがないので、良く分からないのですが。
お話が余りに面白かったので、以来家でもYOUTUBEで探して聞いています。怖いものに興味がおありの方は是非。

スタジオメトロノーム

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他に2階会場では、クトゥルフ系アイドルNECRONOMIDOLのPV上映や、閉会式ではクトゥルフ系VtuberのAzatu様が閉会の辞を述べるなど、様々なコンテンツが登場し、盛り上がっていました。

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司会の宇佐見坂うさりさんは、シュブ=ニグラスをイメージした角と、赤いドレスに黒い触手で、とてもグラマラスで素敵でした。
触手に捕らわれての2ショット。

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1階カフェでは物販の他、ゲームをしたりクトゥルフメニューを出したりしていたようですが、そちらはほとんど行かれず、写真を撮ろうと降りた時はもうほぼ撤収されてしまっていました。
そちらも大分盛況だったようで、何よりです。
会場の広さ的に2フロア必要だったとは思いますが、行き来しにくかったのは少々残念です。

何はともあれ、沢山のお客様にいらして頂けて、そして楽しんで頂けたようで、嬉しかったです。
主催のふじわらさん、スタッフの皆様、出演・出展の皆様本当にお疲れ様でした。
クトゥルフフェス、来年も開催予定だそう。
どんな進化を遂げるのか、いまから楽しみです。



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10

26

01:25
Fri
2018

No.0201

クトゥルフフェス 2018

018/11/4(日)、池袋ライブハウス オンリーユーにて開催される「クトゥルフフェス 2018」に出演させて頂きます。
朗読CDも出版させて頂いた、豚蛇氏の手になるクトゥルフ巻物「妖神乱舞」の朗読がメインとなります。
持ち時間が1時間程もあるので、それ以外にももう一作品くらい朗読するか、一人芝居でも作るか・・・と考えていたのですが、先日の《哲学者の薔薇園》での長南さんのサウィンの儀式に感銘を受けたので、私も挑戦してみようと思いました。
ハロウィンの元となったサウィンは古代ケルトに起源を持つウィッカ(魔女)の儀式で、季節と自然の恵みを讃え、感謝を捧げるというものです。
暗く厳しい冬を無事に過ごせますように、という願いも込められています。
クトゥルフの邪神たちも儀式によって大人しく収まってくれれば良いのですが。
また、式次第には、魔術結社 黄金の曙が採用する手順も含まれます。
他にも色々な出し物があるようですので、もしご興味のある方は是非!

**********
CTHULHU FES(クトゥルフフェス)2018


日時:2018/11/4(日) 10:00~18:00
会場:池袋 ライブハウス オンリーユー
   東京都豊島区池袋2-64-11 平和ビル2F
料金:3,500円

★ステージイベント
ライブハウスのステージを利用した、音楽・上映・トークが中心のイベントです

1)シンフォニック・クトゥルフ・メタル・バンドLost Tales of CTHULHU(LToC)による迫力のメタル曲生演奏
2)イラストレーター・弘司氏によるライブドローイング
3)クトゥルフ神話ライター/ゲームデザイナー、朱鷺田祐介氏のクトゥルフゲームデザイントークショウ(ゲスト:木皿儀隼一氏)
4)女優の由良瓏砂さんによるクトゥルー巻物朗読
5)おおぐろてん氏率いるスタジオメトロノームのメンバーによるクトゥルフを交えた実話怪談&ホラートークショウ
6)ペンギーノキッチンの2人による、クトゥルフ創作料理
7)クトゥルフビール2018の提供
※開栓してのご提供です。お土産のテイクアウトはできませんので、ご注意ください

司会進行:宇佐見坂うさりさん

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★クトゥルフ・アート・カフェ
飲食とゲームと物販が可能な特設ゲームカフェです
ライブハウス階下にあるお店でステージイベントと同時進行で行います
全体的にカジュアルな雰囲気です

1)クトゥルフLARP(事前予約制。10月頃に募集)
2)1時間クトゥルフ神話TRPG体験
3)クトゥルフ系のボードゲーム(クトゥルフウォーズ等)
4)クトゥルフ軽食の提供
5)物販
6)クトゥルフ・アート

会場にいるイラストレーターさんに、クトゥルフ・アートのお絵描きをその場で依頼できる機会を設けます
一般参加の方でも、お絵描きに参加できます

★物販参加アーティスト(敬称略)

・青木淳(るるい宴)
・鷹木殷子(るるい宴)
・海野なまこ
・コノス
・しゅたいなー
・豚蛇
・to
・申バ造
・佐藤和由(絶滅屋)

主催:Lost Tales
お問合せ
E-Mail cthulhufes@yahoo.co.jp



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08

31

00:19
Fri
2018

No.0188

「罪の滴り」解読編・後編

前・中編では作品の内容について触れましたが、今回は私が作品にどう向き合ってきたかの記録です。

私が今回「罪の滴り」で与えられた役は、イワオのアニマの片割れ、イズミ。
天使にしろ幽霊にしろイワオの妄想もしくは幻覚にしろ、人間でないこの役は私に合っていたのか、かなり悩みどころの少ない役でした。
お芝居というのは、人間同士のやり取りから生み出される感情や感覚のせめぎあいだの、関係性の変化だのを見せるものです。
しかし、天使とか幽霊というのは一方的に影響を与える側の存在で、相手から動かされるということはあまりありません。
(作品によってはあるかもしれませんが)
私たちへの演技指導は、稽古の初期段階での「台詞を相手にかけるな」など数点のみに留まりました。
また、イズミはホムラの後についていく役回りだったので、出や台詞のタイミング等、すべて相方の松岡規子さんにおんぶにだっこでした。
更に言うと、私は今まで団体の主宰として作・演出と出演を兼ねることがほとんどだったのですが、出演だけの場合に比べて数倍のタスクを抱えることになり、毎回ひどく大変な思いをしていました。
役のことだけを考えていればいいなんて、まるで夢のように恵まれた状態だと、感動さえ覚えたものでした。
しかも私の役は台詞量も多くはなく、覚える努力すら必要ないくらいだったのです。
ですので、ひたすら役に向き合うことができました。

役のプロフィールを作るにあたり、イズミの場合重要なことは「どうやってイワオに殺されたか」(これは初期段階で野中氏にも聞かれました)、「イワオとの関係」「イワオに対する感情」この辺りかと思いました。
以下の内容は、完全に私の妄想です。

殺され方に関しては、そう難しくありません。
イワオは自分の作中の殺人犯にシンクロしないと書けないのですから、過去に書いた二作のミステリのうち、一作目の時にホムラ、二作目の時にイズミを殺している筈です。
カスミの台詞によれば、二作目の「獣事件」で被害者は滅多刺しにされて殺されている。
従ってイズミの死因は、刃物による刺殺。
死体は、以前から敷地が解放されていたこの古民家の庭に埋められた。だからイワオは発覚を恐れ、印税でこの家を買い取った・・・。
「獣事件」が描かれている「カインの末裔」は、タロットの解釈違いに端を発した殺人事件を題材にしています。
イワオはこの作品の取材の為、トート・タロットを使用する占い師でメンタリストでもあるイズミの元を訪れます。
イズミと何度か接触するうちに、第一の殺人のことで苦しんでいたイワオは、イズミに救いを求めはじめます。
しかし占い師として、人間の暗部を見過ぎていたイズミは、人間嫌悪が高じて死を望んでおり、イワオをたぶらかして自分を殺させるのです。
この魔性の人物造型は、ホムラとイズミがからかうような台詞を言い合うシーンで野中氏から「小悪魔的に」と指導が入ったことで思いつきました。
死後は非常に安らかな境地に至り、イズミはイワオに対する感謝の念と共に、自分を殺させた後ろめたさも持っていて、ホムラと共に永遠の安らぎの中へとイワオを誘おうとしています。

稽古は7月から週5日で、本番の週は毎日ありました。
ただし、稽古期間中全く順調だったかというと、そうでもありませんでした。
一度夏風邪をひき、38度以上の高熱が出ました。
幸い熱は一晩で治まったものの、一度かかってから度々再発するようになった咳喘息の兆候が。
稽古中発作が出たことも何度かありました。
直前まで薬を飲んでいましたが、何とか本番までには回復することができてほっとしました。
日頃の節制がものをいったと思います。

貴重な機会を下さった野中氏をはじめ、この公演に関わった全ての方に感謝を捧げます。


打ち上げで。撮影:野中友博氏



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08

27

23:22
Mon
2018

No.0187

「罪の滴り」解読編・中編

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白い服の青年と赤い服の女のやり取りを経て、後半「Cry」が始まります。
次回作の執筆について編集者カスミから尻を叩かれている、作家イワオ(紅王国の劇作家・演出家である野中氏の分身である)。
「守護天使」と呼ばれるホムラとイズミというイワオの二人のアニマが時折現れ、執筆の邪魔(?)をします。
しかし実は二人は、作中の殺人犯にシンクロしないと書けないイワオが、以前殺した女性たちの霊で、ラストでカスミも殺されて彼女たちの仲間入りをしますが、三人揃ってイワオを取り殺す、というお話です。

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イワオによって全てが始まったとして強調されている1995年は、阪神淡路大震災と『地下鉄サリン事件』が起こった年であり、「新世紀エヴァンゲリオン」の放映が始まった年。
そしてもう一つこの作品で大きな意味を持つ、『神戸連続児童殺傷事件』は、2年後の1997年に起きています。
作中でイワオが執筆しているのは、2002年に起きた『北九州監禁殺人事件』をモチーフとした作品。
イワオの過去の作品としてカスミが言及している「使徒事件」は、『渋谷区短大生遺体切断事件』をモチーフとした紅王国の2009年の上演作品「我が名はレギオン」、「獣事件」は『秋葉原通り魔事件』をモチーフとした未発表の戯曲「カインの末裔」を指しています。
これら現実の事件に関しては、私も以前から興味があり、色々と調べてもいましたし、今回の上演にあたって改めて様々な情報を収集し読み込みました。
そしてイワオと同じく、『北九州監禁殺人事件』及び類似の事件である『尼崎事件』を最も不気味なものに感じました。
家族をお互いに疑心暗鬼になるように仕向け、殺し合いをさせるという部分にです。
最も、人間の精神の脆弱さを考えると、それすらも不思議なことではないのかも知れません。

魔術師、タロット占い師としての顔も持つ野中氏の作品らしく、道具立ても揃っていて、ホムラ・イズミ・カスミ・イワオは万物の構成要素とされる四大を表しています。
また、イワオの作品中で同胞団の人々の呼び名のイニシャルとなっているのは、シスターM=ミカエル(火)、シスターG=ガブリエル(水)、マザーU=ウリエル(土)、ブラザーL=ラファエル(風)と、やはり四大に対応する天使名となっています。
野中氏はプロテスタントのクリスチャンでもあるので、赤い服の女と白い服の青年の会話には、聖書からの引用が多く用いられています。
「原罪の実」はもちろん、アダムとイヴが食べた、エデンの園の中央に生えていた「知恵の木」の実です。
物語のラストの女の問い掛け「お前は誰だ?」に対して青年が「罪人だ」と答えるのは、神から禁じられていたこの実を食べることで、人間が原罪を背負い、楽園を追放されたというところから来ています。
また、聖書には「姦通の女」のエピソードがあります。
律法学者たちがイエスを試す為に、姦通を犯した女を連れてきて、律法に従い石打ちの刑に処すべきかと尋ねます。
イエスは「あなた方の中で罪を犯したことの無い者だけが、この女に石を投げよ」と答えます。
それを聞いた人々は、一人また一人と去って行き、最後に女とイエスだけが残り、イエスも女を許すのです。
白い服の青年の「殺せない。そんな資格はない。誰にだってない」は、このエピソードを踏まえたものです。



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「罪の滴り」では、野中氏の音楽への拘りも十全に盛り込まれています。
客入れの30分間、眠り続ける白い服の青年の子守唄の如く流れていたのは、グレゴリオ聖歌のレクイエムの一部、続唱(セクエンツィア)、通称「怒りの日」。
最後の審判を歌ったものです。
全編(「零れた女」を除く)を通じて流れるのは、バッハのオルガン曲。それも、場所によってアレンジ違いを流すというこだわり。

これだけ宗教色を前面に押し出しているにも拘わらず、いやだからこそ、かも知れませんが、「Cry」ではホムラとイズミが「~もない」のリフレインで徹底したニヒリズムを訴えかけます。
イワオのラストの台詞「この世に神はいない!」に度肝を抜かれました。
私の友人の一人はかつて「死後、自分の存在が何も無くなるということ程怖いものはない」と言いました。
また別の友人は「死後の世界があるなんて耐えられない。一切合財消滅して欲しい」と言いました。
それぞれの考え方が、現世での生の在り方に反映されていて、非常に興味深く感じたものでした。
しかし、死後の世界を信じるにせよ信じないにせよ、死んでみないことには何も分からないのです。
それであれば、今この生を精一杯生きること。
私たちにできるのは、それしかないのではないでしょうか。

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撮影は全て野中友博氏



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08

22

23:42
Wed
2018

No.0186

「罪の滴り」解読編・前編

演劇実験室∴紅王国+白狐舎公演『罪の滴り』、昨日無事千秋楽を迎えました。
最終日は見事に晴れたのは良かったのですが、初日以降30度以下を保っていた気温が再び上昇、最高気温33度の暑さに。
客席は随分暑かったと思います。
満席で入れなかったお客様もいらしたようで、申し訳なかったです。


会場の古民家、おかっぱちゃんハウス
「おかっぱちゃん」は主宰者のイラストレーターBoojilさんの生み出したキャラクターです。

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敷地内にはお稲荷さんが祀られていて、白狐舎の白井さんが毎日お参りをしていました。

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「零れた女」で女がシェアハウスにする為にここを借りる決め手とされたテラス。

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「Cry」でホムラとイズミが現れる橋掛かりとなった回廊。

ご観劇のお客様の評判は概ね上々だったようですが、中には難解だったとか、エヴァンゲリオンを観ていないのでその部分が分からなかった、などのご意見も。
そこで、蛇足であることは重々承知の上、作品の内容について少々触れてみたいと思います。
(私の解釈が入りますので、劇作家の意図とは異なる部分もあるかも知れません。ご了承下さい)

まず、全体の構成ですが、白狐舎による「零れた女」と、紅王国による「Cry」この2つの作品を、幕間劇「OVERTURE」「INTERLUDE」「CODA」が繋ぐ、という構造。
余命僅かな男(白い服の青年)が自分の命を三億円で売りに出しているところに、天使マラキムを名乗る赤い服の女が現れます。
三億円の代償に、罪人を殺せと青年を煽る赤い服の女。
「零れた女」に会え、と言い残して去ってゆきます。

白狐舎「零れた女」は女と男の対話劇で、内容からオウム真理教の菊池直子と高橋克也のことと分かります。
(作劇上の脚色はされており、例えば高橋被告の判決は無期懲役で、死刑にはなっていません)
とても良く出来た脚本で、私は合同稽古で拝見する度に涙していました。
「零れた女」の意味は、一つにはオウムの一連の事件で起訴された人々の中で、有罪判決から零れた、ということかと思いますが、無罪となり自由の身になっても彼女の元には罪を糾弾する手紙や電話が届きます。
この脚本の中で一番のミステリーは「男は何に怯えていたのか」ということです。
私の解釈では、男が恐れていたのはエディプス・コンプレックスの完成であり、父亡き後、それを阻止する為に尊師への帰依を続行したのではないかと思えるのです。
その怯え故にか、逮捕後、男は自分の無罪に対する確信すら揺らいでいきます。
対照的に女は無罪を確信し、既に信仰も捨てている。にも拘らず、一旦教団と関わった事実は動かせず、元信者たちは教団の罪を償い続けなければならない。
女に別れを告げ、刑場へと向かう男を引き立てて行く刑務官は、白い服の青年です。
稽古中、タイトルの上がっていた「13階段」や「休暇」などの映画や、元刑務官のインタビュー映像を観ました。
死刑制度の存置を被害者遺族の感情的な見地から語られることがしばしばありますが、死刑とは国家による殺人であるという本質を見過ごしてはならない、と思います。

長くなりますので、続きはまた。



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